海外で日本食

海外で和食を作ろうと思い、最初にぶち当たる壁は、食材だと思います。あと、調理器具。と文化。
もっとも、アジア各国なら似たような食材があると思いますし、昨今の和食ブームで世界各国の大きな都市には日本食材を扱うお店が増えているようです。
でも、田舎都市には、そんなものは存在しません。
初めて、今住んでいる国に旅行で来たときに、代替食材探しの奮闘記が始まりました。

数日、ヨーロッパ人の友人のもとにお世話になったのですが、夕飯に何が食べたい?と聞かれ、何をリクエストすればいいのか…
一緒に旅をしていたチョコちゃんと顔を見合わせ、日本食食べてみたい?と尋ねてみたところ、ぜひ食べたい!食材はこちらで用意するから、何が必要か言って!と、前のめりな返事が。
当時、実家暮らしだった私とチョコちゃん。
限られた食材で何が作れるか・・・
思いついたのは、親子丼。
でも、当時の私が知る親子丼のレシピは、麺つゆを使うものでした。
当然、麺つゆはありません。
とりあえず、インターネットで情報を探そうとしたものの、当時は、スマホが今ほど普及しておらず、タブレットなんて、存在すら知っていたかどうかあやしいものです。つまり、今のように、自分の端末でwi-fiさえあればインターネットに繋げるなんていう環境ではありませんでした。
友人のノートパソコンを借りたものの、日本語対応してない!
グーグル翻訳で、ローマ字で打って、日本語表記をだして、youtubeに張り付けて…
なんとか見つけた親子丼のレシピ。ただし動画。
必要な食材を書き出して…
鶏肉、米、玉ねぎ、玉子、醤油、みりん、日本酒、砂糖、どーのこーのどーのこーの…
具は、問題なく手に入りそうなのですが、調味料は砂糖以外どうすれば…
そこに、有力な情報が!
醤油は、スーパーに売っているとのことです。
日本酒は白ワイン、みりんは白ワイン+砂糖で代用することにしました。
買い出しに行ってみると、売っている醤油は当然(?)中国の醤油。同じ味か分からないけど、醤油は醤油でしょ。ということで、中国醤油と、白ワインと砂糖で味付けすることにしました。
材料はすべて揃い、料理する段階になって、新たな問題が。
米ってどうやって炊けばいいの?
生まれたときから実家には炊飯器があった日本人二人。鍋で米を炊いたのなんて、小学校の野外学習くらいなものです。
また、調べなきゃ!と相談していると、米も料理できないの?とお世話になっていた友人に言われました。
いつも機械が料理してくれるから…と答えると、米は私が料理するから、あなたたちは鶏を料理してなさい。と言われ、米はお願いすることに。
いえ、確認しなかった私もいけないんですが、知らなかったんですよね。外国の米の調理の仕方なんて。
沸騰したお湯の中に、パッケージからザーっと米をいれて、ぐつぐつと、パスタのようにゆで始めたんです。
ちなみに、パッケージの表示時間ゆでたら、ザルにあけます。パスタと同じです。
衝撃でしたが、まあ、反対したところで、日本の米の調理の仕方を知っているわけでもないし、と具の調理にとりかかりました。
こちらでも、問題が。
溶き玉子を作るのに、菜箸がない…
日本人二人で戸惑っていると、何が必要なの?と聞かれ、玉子をかき混ぜるのに、箸が必要なの…と説明すると、フォークで玉子をとき始めました。
え、フォークで?
その後、味付けのために、買ってきた醤油を開けると、なんか変なにおいがする。
どうやら、中国の醤油は日本のとは香りが違うみたいです。
でもまあ、他のものと料理してしまえば分からないよね、と調理続行。
結果、なんだかサバイバル調理でしたが、なんとか、おいしい親子丼を作ることができました。
後日、その町で、Kikkomanの醤油が買えることが分かり、大喜びしました。

結論
醤油さえあれば、日本食もどきは作れるということです。
その後、この国に住み始めてからも、日本食を代替食材で作ろうキャンペーンはずっと続いています。

ちなみに、親子丼は醤油さえあれば、どこに行ってもある食材で作れて、どんな背景の人にも受け入れられる、万能日本料理です。
皆さん好みがいろいろあるから、家庭料理すぎて人様にだすのはちょっと、なんて言っていられないもので。
この度、おもてなし料理タグを追加しましたが、このタグでは、外国人(ヨーロッパ人)に比較的受けがよくて、現地(田舎都市)で極力買える食材で作れる、私の定番おもてなし料理をご紹介していければと思います。